こんなに大事!唾液(だ液)の役割

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唾液(だ液)は「ただの水」ではありません。

唾液(だ液)は、私たちが生きていく上で「必要不可欠」なものなのです。

唾液トリビア

・ 1日に 1〜1.5 リットル出ていると言われています。
・ 唾液(だ液)の分泌量は、安静時と刺激時でも違います。
・ 睡眠中にはほとんど分泌されない。
・ 人間も動物も、唾液(だ液)が出なくなったとき死を迎えます。
(赤ちゃんはよだれがいっぱいですが、死期の近づいている人の口の中は乾燥しています)

では「唾液はどうやって出ているのか?」ご存知ですか?
実は、「交感神経」と「副交感神経」が主にコントロールしているのです。

ストレスがない時(=副交感神経がはたらいている時))は、サラサラした唾液が耳下腺から分泌されます。
ストレスがある時(=交感神経がはたらいている時)は、ネバネバの粘稠性の高い唾液がおもに舌下腺から分泌されます。
ストレスフリーな生活を送ることこそドライマウス改善の第一歩ですが、この世はなにかとストレス社会、せめてON OFFを分けられるような生活を心がけましょう。

これらの事は、唾液に関することのほんの一部です。
知らないうちに出ている唾液(だ液)ですが、知らないことがいっぱいです。
まず唾液(だ液)のことを「知る」ことが大事です。

どんな役割があるか? 見ていきましょう。

唾液(だ液)の役割

自浄作用

唾液(だ液)は、お口の中の汚れを洗い流す作用があります。
自浄作用※用語集ページへ」が落ちると、細菌が繁殖して虫歯や歯周病になりやすくなったり口臭がきつくなったりします。

免疫力を保つ

体の部位で、外に開いているところ(お口、目、鼻など)は、外から浸入してくる細菌などを防ぐ働きがあります。
「生体防御機能」、すなわち「免疫力」が働いているのです。唾液(だ液)に含まれる「リゾチーム※ (用語集ページへ)」は、その役割をするものの 1 つで「抗菌作用」を持った「酵素」です。「リゾチーム」は唾液(だ液)だけでなく、涙や汗、リンパ腺、鼻粘液、肝臓、腸管など生物体内に広く分布していて、色々な細菌感染から生体を守り、生命維持に欠かせないものなのです。
また、唾液(だ液)に含まれる 「ムチン※ (用語集ページへ)」(唾液(だ液)の中のネバネバ物質)は、菌を凝集させ、「菌塊」として口の内から排出するはたらきをしています。
さらに「ラクトフェリン※ (用語集ページへ)」「ペルオキシターゼ※ (用語集ページへ)」「IgA※ (用語集ページへ)」などの殺菌物質も含まれています。

食塊(しょくかい)を形成する

例えば、パンやスナック菓子などのパサパサしているものをそのまま飲み込んだら、飲み込みづらいと思いませんか?
これを防ぐために、「噛むこと」で「唾液(だ液)」を出します。
さらに飲み込みやすく塊にするために、唾液(だ液)の中の「ムチン」の成分を利用し、泥団子のように唾液(だ液)と食べ物を混ぜて1 つの湿ったカタマリである「食塊」にして、飲み込みやすくしています。
また、ご飯など口の中でバラバラになってしまうものも唾液(だ液)の中のネバネバ物質とよく混ぜて、喉のあたり(咽頭部)で 1 つの塊にして飲み込みやすくしているのです。

嚥下(飲み込むこと)しやすくする

摂食・嚥下(せっしょく・えんげ)という言葉、家族に介護をした人がいる方なら聞いたことのある言葉ではない のでしょうか?
摂食・嚥下(せっしょく・えんげ)とは、「食べる仕組み」です。 目で確認して、噛んで形を整えて、舌でのどへ送り、のどから食道へ、食道から胃へ送る一連の作業を指します。 その際、唾液(だ液)は大事な役割を果たします。 流しそうめんがうまく流れるように、食塊を胃まで無事に送り届けるのも、唾液(だ液)の大事な役割です。

口腔内の粘膜の保護

お口の中には、硬い歯とやわらかい粘膜が同居しています。
しゃべったり、食べたりしても口の中が傷つかないのは、唾液(だ液)がお口の中を潤しているからです。
ここでも「ムチン」が潤滑油として活躍します。せんべいを噛んだら、とがった部分が口の中にあたって痛いはずです。
なぜ痛くないのか?唾液(だ液)があるからです。
そのクッションの役割をしているのは、唾液(だ液)に含まれている「ムチン」の働きです。

消化を助ける

口は最初の消化器官です。
「アミラーゼ」という酵素が炭水化物を分解して、消化を助けます。

味覚を感じる

唾液がなければ、味を感じることはできません。 味覚には、味わいを楽しむ役割だけでなく、「食べ物が安全なのか?」を一瞬で判断する大切な役割もあります。 極端にすっぱいもの、苦いものを口に含んだとき「ペッ」と反射的に吐き出したことはありませんか?味覚が毒物と判断すると、反射的に大量の水のような唾液(だ液)を出し、吐き出します。 無意識のうちに、そのような機能をしているのです。
その際に、唾液(だ液)は欠かせないものなのです。

細菌の活動を抑える環境を整える(中和作用・緩衝作用)

通常の口腔内はph6.8~7.0で中性を保っています。糖分を摂取するとPHは酸性に傾きpH5.5以下になるとエナメル質は生体内で最も硬い組織ですが、酸によって容易に溶解します。
phが酸性に傾いた環境を中和させる機能のことをph緩衝作用といいます。緩衝作用の働きをする唾液中の成分が重炭酸塩やリン酸塩です。これらは酸を中和しphを一定に保ち細菌の発生する酸や酸性食品から歯の溶解を防いでいます。

参:ステファンカーブ:食後すぐに酸性へと傾きますが、唾液により中和されるため食後30~40分程度でもとの状態まで回復します。phが回復しない間に間食が多くなるとphも酸性に傾いたまま推移するため虫歯が発生しやすくなります。

出典:伊藤ハム健康保険組合 むし歯ってなんだろう

歯の保護と虫歯予防(再石灰化)

歯の成分はカルシウムが多いので、酸に対して弱く、酸性の状態が長く続くと歯の成分が溶け出し虫歯の原因となります。これを「脱灰(だっかい)」といいます。
唾液(だ液)には脱灰した歯を再石灰化をして、初期虫歯を治す役割も持っています。

パロチン

「若返りホルモン」といわれ、緒方洪庵の孫、緒方知三郎が発見したホルモンです。
成⻑ホルモンの一種で、体を若々しく保つ機能・骨や歯の再石灰化・新陳代謝を促すなどのアンチエイジング効果があります。

唾液(だ液)は天然の殺菌消毒薬

NGF(nerve growth factor)とEGF(epidermal growth factor)が顎下腺から単離されたことは有名ですが、簡単に言うと神経や上皮を修復、成長させる因子が唾液中にあるのです。たとえば料理中にうっかり包丁で指を切って出血したらとっさに指をなめる、これは、唾液中に傷を治す力があることを、本能的に知っているからなのです。動物が傷を負うとしきりに傷をなめまわしているのもそういうことなのです。さながら唾液(だ液)は「天然の殺菌消毒薬」といったところでしょうか。

唾液ってどこからでるの?

当たり前のように出ている唾液(だ液)ですが、どこから出ているか?考えたことはありますか?
唾液(だ液)腺は1ヵ所ではなく、口の中のいろいろなところから出ているのです。
出る場所によって、サラサラだったりネバネバだったりするのです。
どんな唾液腺があるのか?一緒に見てみましょう。

大唾液腺(だいだえきせん)

大唾液腺は3つあります。
1.耳下腺(じかせん)
サラサラした唾液(だ液)を出します。上の奥歯の頬側にある「耳下腺乳頭」というところから出ます。

2.顎下腺(がっかせん)
サラサラとネバネバの唾液(だ液)を出す混合腺です。すこし粘度のある唾液(だ液)を出します。
顎の下にあり、舌の下の小さなふくらみの「舌下小丘」から出ます。

3.舌下腺(ぜっかせん)
サラサラとネバネバの唾液(だ液)を出す混合腺ですが、ネバネバの割合が高いです。
舌の下にあって、「舌下小丘」とその周りの舌下ヒダから出ます。

小唾液腺(しょうだえきせん)

歯と歯肉以外の粘膜のいたるところに小さな唾液腺が存在しているのです。
それが小唾液腺です。小唾液腺には、下記のものがあります。
1.口唇腺(こうしんせん)
唇をめくると、水滴上の唾液(だ液)が見えることがあります。
これが、口唇腺からでた唾液(だ液)です。唇の粘膜から唾液(だ液)の出口があります。

2.口蓋腺(こうがいせん)
口蓋とは、口の中の上あごのことです。そこの粘膜にも唾液腺があります。

3.頬腺(ほうせん)
頬にある唾液腺です。

4.前舌腺(ぜんぜつせん)
舌尖(ぜっせん)、つまり舌の先の下にあります。

5.エブネル腺
有郭乳頭(舌の奥にあるブツブツ)と葉状乳頭(下の付け根の脇)の間にあります。

食事の際、唾液(だ液)ってどこから出ているのか?をちょっと意識してみるだけでも、唾液(だ液)への理解が深まります。

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